観光立国について

テレビで日本の観光立国ッ!!世界中から金持ちツーリストを集めて金をゲットするッ!!!みたいなのみて,すごく変な気持ちになった.つらい.確かにいろいろなところでこの国は観光広げたいとおもってます的なメッセージをみるし,それは国外からの観光客を集めることを意味したり,あるいは国内の観光を増やすみたいなのもあるんだけど,よくわかんないのが現状で,観光立国みたいなのコトバだけ独り歩きしているのはすごい.

ここは遊びで書いている自分のブログなので断言していいとおもうけど(こんなことをわざわざあらかじめ書くのはばかばかしいな),この国は「観光立国」をしようなんて全く思っていないので,そういうのは全く期待しないほうがいいし,無視したほうがいい.2008年に観光庁ができたあたりから目立っていろんな活動している雰囲気だけど,全てはまやかしでありごまかしであり,頭の中につくりあげた観光立国で遊んでいるだけ.

本当に観光立国やるなら,観光関連の統計をちゃんととるところからはじまるはず.しかしそんなことは全く行われていないし,観光白書は1990年代以降ずっと劣化しつづけているし,観光庁になってからの観光白書はマジでやばい.観光白書以外の統計もたいがいやばい.統計としての体をなしていない.統計がまともに完成されるまでは観光立国なんてありえない.それでもこの国の観光産業や観光地がめざましく発展したとしたら,そこにお国の力なんて全く作用していない.とにかくこの破滅した(人為的に破滅させられた?)統計をなんとかしないうちは,この国は観光立国する気なんて全くないとおもっていていい.

ついでに書いておくと,なぜ統計がまともにとられないかといえば,「観光」とは何か?という問いに対する答えが全く出ていないから.観光と旅行と物見遊山と見物とツーリズムとレジャーとサイトシーイングは,それぞれどうちがうかっていう議論は,かなり混沌としてて,混迷極めている.特にツーリズム概念が日本語で説明できないうちは日本で観光(観光をツーリズムと一応規定したとしても)っていうのはまともな体をなさない.

さらについでに書いておくと,なぜツーリズムに関する諸概念を整理できないでいるかというと,それに取り組んでいろいろ考えてる人たちが悪いというより,単に日本はまだツーリズムやるようになったばかりだから.日本人がまともに観光とかするようになったのはマジ最近.まともにさかのぼれるのはせいぜい高度成長期くらいまで.早い話が,余暇時間が少なすぎる.20代30代がいまの水準の余暇時間しか得られない社会で,ツーリズムが成立するわけはない.

ツーリズムに関わらず,とにかく余暇時間を増やせるかどうかは,日本経済の発展の要のひとつになる.「これからの経済成長戦略は余暇時間の拡大!」とかいわれて矛盾しているとか,余暇時間が増えたら可処分所得が減って遊べないだろうがみたいに感じるのは,変だと思う.