21世紀の江戸前寿司

大学のちかくに妙に目立たない寿司屋があって、昼にひとりで時々いく、なかは黒い板を貼りつけたり漆喰を塗りつけたりして間接照明で渋いんだけど、カウンターの向こうでは異常に頑固な爺ちゃんがテレビのワイドショー観ながら寿司を握り、人当たりのいい婆ちゃんがそれを運ぶ。食器類が常軌を逸する高品質で、あとで載せる写真では絶対に伝わらない感じで、もはや食器ではなく芸術作品なのがいい。

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ふつうの握りは1500円からだけど、ランチ握りは850円なのでそれを頼んでる。

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ランチ握りだけだと物足りないので、婆ちゃんに光り物と白身でオススメ2貫追加してってお願いしたらこれ出てきた。会計したら1700円だったので、ランチ握りとこの2貫が等価ということになる。追加でくれたのは平目と鯵だった。立派な鯵。魚のなかでは鯵がいちばんうまいと思う。

握りはみんな仕事がしてあって、どれもレベルが高い。コハダがふつうにおいしいのは自分の乏しい経験中ではこのお店くらいで、追加でもらった平目は昆布〆によって濃厚な甘みが出ていた。21世紀において江戸前寿司か否かはネタの産地ではなくて〆等の仕事の質によって決まるけど、江戸前寿司感あって、21世紀の江戸前寿司なんだけど、さすがに会計時に平目と鯵だけで850円と知るのは迫力あったので高額な寿司の不足が問題視されている。