1万円台で買える国産万年筆トーク

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文房具が好きというか万年筆が好きなだけみたいな会話したんだけど、いま机のすみこうなってて、少なくとも筆記用具は好きなのでは感ある

 

 万年筆、300円のプレピーとか1000円のカクノとか3000円のサファリとか人気ある。決して悪くはなく、つかっていて楽しい、良い万年筆だと思う。でも万年筆、日本のメーカーの場合、1万円以上支払うことで、筆記具として異次元の機能が得られ,複雑な世界観に触れることができる。それゆえに、とにかく万年筆は国産万年筆に1万円出してからだという思いもある。

 
 まとまった重い文章書くのが仕事で、もちろんPCで書くんだけど、手書きでメモしたりデータに書きこみしたりすることも多いので、つかれないように万年筆を愛用してる。好きなジャンルで、かつ毎日つかうものなら、1万円くらい出しても高くなくなくなくない?ってなるんだけど、いかがか。なお靴が好きなので、職場のスリッパも1万円のやつはいてる。
 
 というわけで、以下は手もちの万年筆の自慢です。自慢だけどマジ自分の万年筆の魅力とか文章にできないし、読者諸賢の共感性が試される。
 

1) プロフィット21(セーラー)

 いちばんよくつかってる万年筆。太さはF。特徴は柔らかさ。ペン先が21金だから柔らかいらしい。万年筆における「柔らかさ」概念については留意すべき点があって、後述するけど、この万年筆はくせがなくて良い。この万年筆、知人がホンダのカブに例えてて、良い例えだと思う。万年筆は高額でも書き出しの際にインクが出ないことが少なくないけど、この万年筆でそういうことはない。安定してる。安定してるからどんなときにもつかえるし、それゆえに使用時間が長くなり、愛着がわく。見た目もシンプルで良く、いわゆるノームコアっぽい。指に力を入れずに軽くするするするするっと書けるんだけど、つかいこんでくうちにどんな姿勢でも、つまり万年筆の教科書通りにペンを寝かせても立てても、力を抜いても入れても楽に書ける。15,000円くらいで買える。定価21,000円。
 

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でも今週はこっちメインでつかってる(書道歴12年)

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よくこのインク残量でこれだけ補給できたと自分を褒めている

インク吸入ドキュメンタリー

 2) センチュリー(プラチナ)

 自宅用。新入りなのであんまつかわれてない、不幸な万年筆。太さはM。「一年間キャップを閉めっぱなしにして使わなくても大丈夫」という謎テクノロジーが売りの万年筆なんだけど、そんなん比較的どうでもよくて、万年筆としての基本性能がきわめて高い水準でまとまっているのがすごい。よく知らんけど、筆記具としての機能面では世界一といって過言じゃないのではと思う。どんなに高い金を払っても、単純な機能面において購入時点でセンチュリーよりすぐれた万年筆に出会えることはないのではって感じする。あまりに優等生すぎてイラつく。ペン先の形がかっこいいけど、その他、キャップの頭やペン尻の形がイマイチで、あまり姿はカッコよくない。ステータスを全部ペン先のクオリティに振ってる狂気の万年筆。なんと7,000円くらいで買える。定価10,000円。
 

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コタツの中から万年筆発掘した

 

3) キャップレス(パイロット)

 ノック式万年筆。太さはFだけど太字って感じ。フタを開けなくて良いので片手でつかえる携帯用万年筆。マジボールペン使えよと思う。フィールドワークしてるときなんかに愛用してたけど、ボールペンの方が便利だと気づいて、ジェットストリームに変えた。そもそも、自分から他人にお願いして話ししてもらってる時に、相手から奇抜に見えかねない筆記具をつかうのは無難ではない。携帯用万年筆としてはそんな感じなんだけど、キャップレスはペン先の形がやや特殊で、それゆえに独特の弾力がある気持ちいい書き味が得られる。キャップレス買って初めて書いたとき、万年筆はこれ一本だけでも良いのではと思った。決してキワモノではなく、正統派万年筆のすぐれた書き味として評価できる。インクの交換が面倒。ノックの感触が気持ちいい、メカニカル感と人力感のバランスという感じで、ユーザーエクスペリエンスをよく考えられたすぐれた商品だと思う。12,000円くらいで買える。定価16,200円。
 

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冊子になってる原稿用紙がメモ帳に丁度いい近ごろ

 4) No.12(1960年代モンブラン

 マジ国産万年筆でも1万円台でもない。1)のプロフィットに次いで多くつかってる。モンブランは高級万年筆の代名詞みたいなやつで、それが1960年代にのみ生産してたモデルの高級ライン。書き味はしなやかな弾力性が特色で、ほかの万年筆では得られない体験で、貴重。太さはFだけど、なんか規格化できない筆跡になる。変な万年筆だと思うけど、とにかく魅力しかない。万年筆をつかう喜びがある。価格はいろいろ。
 

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冷静に考えたら1960年代の万年筆つかってるのすごい気がして同年代で写真撮った

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インク減ってそうだなと思ってインク窓みたらインクなかった

インク入れた

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気持ち高まりすぎて突発的に写真撮ったけど、本当にこの万年筆は最高、マイスターシュテュックNo.14、ヤフオクで根気強くねばってたら7000円で購入できた

 
ペン先の柔らかさについて
  • ペン先の柔らかさという評価軸が散見されるんだけど,まず,万年筆は柔らかければいいというわけではないです.たくさん書く人や高速で書く人にとって柔らかいペン先は疲れるし,特に柔らかいものは,ゆっくり書いても疲れる.
  • ペン先の柔らかさは,ペン先の素材における金の含有量,すなわち「どれだけ柔らかい素材がつかわれているか」という点から論じられることが少 なくないけど,そう単純ではない.万年筆でもの書くときの最終的な感触としての「柔らかさ」は,ペン先そのものの物理的な柔らかさとイコールではない.ペ ンの形状(大きさ,太さ,曲線の角度など),ペン先の珠の形状,軸の形状や重さなどの総体として決まる.「柔らかさ」を評価軸としないで,シンプルに気に 入った見た目の万年筆を実際に手にとって選んだほうが良いとおもう.
  • そういう複合的な世界観がひとつの万年筆において構築されてくるのは,国産万年筆では1万円以上のクラスだと思われて,その複合性が万年筆の魅力を創出し てると思う.1万円台の万年筆は,国内主要三社(パイロット・セーラー・プラチナ)が気合入れて作ってて,かなりのお得感がある.
  • なお国外の有名メーカーの万年筆は3万円からスタートという感じがします.海外有名メーカーで1万円台というのは,買いたてではペン先からインクが出てこないのもよくあるというレベル.国産最高.

 

あと,どうしても安い万年筆だったら,1000円弱で買える「デスクペン(プラチナ)」がおすすめです.

kaiteki.hateblo.jp

 

セーラー万年筆 万年筆 プロフィット21銀 細字 11-2024-220 ブラック
 

 

プラチナ萬年筆 #3776 ブルゴーニュ 細字 PNB-10000#71-2

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